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相続土地所有権の国庫帰属
1.問題の背景
民法239条2項に「所有者のない不動産は国庫に帰属する」という条文が存在します。しかし「土地所有権の放棄は権利濫用に該当し無効」とする下級審判例が示すとおり、現実的には不可能な手続きとされていました。
しかし、昨今の所有者不明土地の急激な増加により、早急な抜本的解決案が望まれていました。
今回創設された「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)は、一定の要件のもとで、法務大臣の行政処分により、相続等により取得した土地を国庫へ帰属させることを可能とするものです。
今後の、土地荒廃の予防、管理モラルの低下を防ぐ効果が期待されます。
2.必要とされる要件とは?
(1)「相続等」により、「土地」の所有権を取得した「相続人」
→遺産分割、特定財産承継遺言、遺贈(相続人に対する場合)を含みます。
→施行日より前に生じた相続に起因する場合でも、この制度を利用することが可能です。
→死因贈与、生前贈与等による取得は認められません。
→数人の共有に属するばあいには、共有者全員が共同して行う必要があります。
(2)次のいずれにも該当しないことが必要となります。
@建物の存在する土地。
A担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
B通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
C土壌汚染対策法第2条1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る)により汚染されている土地
D境界が明らかでない土地、その他の所有権の存否、帰属又は範囲について、争いがある土地
→ここでいう「境界」は筆界(公法上の境界)ではなく、いわゆる所有権界(私法上の境界)とされています。対象土地について、明確な境界確定手続きまでは要求されていませんが、境界が明かでなければ実態としては境界に争いがあるものとされ、承認申請は認められないと解されます。
E崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る)がある土地のうち、その通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要するもの
F土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存在する土地
G除去しなければ土地に通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存在する土地
H隣接する土地の所有者、その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
I@〜Hまでに掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするにあたり、過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
(3)法務大臣は、前号に掲げる要件を満たす土地である場合には、承認をしなければならないと
されています(相続土地国庫帰属法5条1項)。つまり、法務大臣(行政庁)による裁量は認められていません。
→却下、不承認処分のいずれについても、行政不服審査・行政事件訴訟において不服申立てが可能となります。
(4)承認申請者は、審査手数料とは別に、承認処分があったときは、「負担金」を納付する必要があります。(相続土地国 庫帰属法10条1項)。
そして、この負担金が納付されたときに、承認申請地の所有権が国庫へ移転することになります(相続土地国庫帰属法11条1項)。
→負担金については、法務省資料によると、「粗放的な管理で足りる原野であれば10年分で20万円(原則的金額)、200u程度の市街地にある宅地であれば80万円程度」とされています。
(5)申請窓口は、各地方法務局の本局が受付窓口となります。
3.施行日は?
令和5年4月27日より施行されます。
→法務局案内ページはこちらから。
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