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司法書士京都SUNNY合同事務所は相続登記、遺産分割、生前贈与、財産分与、住所氏名変更登記を中心に業務を行っています。

TEL. 075-496-4805

〒615-0901 京都市右京区梅津南広町27



自筆証書遺言



1.必要な要件は?

 
遺言者が、@遺言のその全文、A遺言の日付、B氏名を自書し、C押印しなければなりません(民本968条1項)。ただし、自筆証書に遺産や遺贈の対象となる財産の目録を添付する場合には、その目録については、自書する必要はありません。その場合には、目録に(両面の場合は両面に)署名・押印する必要が生じます(同条2項)。自筆証書遺言の訂正については、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して署名し、かつその変更箇所へ押印する必要があります。(これは、先ほどの自筆でない財産目録を利用する場合にも同様に行う必要があります。)


2.訂正・撤回の方法は?

 
遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。また、前の遺言の内容が、後のものと抵触するときは、その部分については、後の遺言で前のものを撤回したものとみなされます(民法1023条)。


3.法務局の遺言書保管制度との違いは?


 法務局での遺言書保管制度では、遺言者本人が法務局へ出向いて保管申請をします。また所定の手数料が必要となります。長所としては、@遺言書の紛失を防ぐことができ、A他人に遺言書を見られることがなく、偽造・改ざん・廃棄される心配もありません。B自筆証書遺言では必要とされる、相続開始後の家庭裁判所における「検認手続き」が不要となります。

法務局遺言書保管制度


                                 このページの先頭へ

自筆証書遺言の案内。直筆にて、日付、署名、実印、封印、検認手続が必要。





公正証書遺言


1.手続の概要

 公証人役場で、遺言者が証人2名の立会いのもとで、公証人へ遺言内容を口述することにより行います。自筆証書遺言のように、遺言者が遺言書を自筆する必要はなく、予め提出したメモや資料に基づいて、公証人が遺言書原案を作成します。公証人役場には管轄はなく、遺言者にとって都合のよい公証人役場で手続きを行うことができます。


2.長所と短所

 方式の不備や、遺言が無効となる恐れがありません。また原本が必ず公証人役場に保管されますので、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配もありません。自筆証書遺言で必要とされる、相続開始後の家庭裁判所における「検認手続き」が不要となります。短所としては、遺言の目的の価格に応じて、手数料が必要となります。


3.公正証書遺言の有無を調べる方法は?

 平成1年(1989年)以降に作成された公正証書遺言であれば、遺言登録検索システムが構築されているため、日本全国どこの公証人役場においても、調べることが可能です。ただし相続人等の利害関係人であること証する書面を提出し、自身の身分証明書を提示する必要があります。


4.特に遺言書を作成しておいたほうが良い場合とは?

 特に遺言書を作っておいたほうが良い場合として、次のようなケースが考えられます。
 @夫婦間に子供がいない場合
 A再婚をし、先妻・先夫との間に子供がいる場合
 B内縁関係の場合
 C相続人がまったくいない場合
 D外国籍の場合
 E個人事業や農業経営など事業の財産的基礎を分散したくない場合



公証人役場における公正証書遺言の作成


                                  このページの先頭へ



公正証書遺言詳細解説。商人2名の立会。公証人役場。検認不要。






検認手続


1.検認手続とは?

 「検認」とは、裁判官が書記官や関係者同席の下で、その状況を視覚等により確認して記録化する作業であって、相続人らに遺言書の存在、及び内容を知る機会を与えるとともに、遺言書の変造や改ざんを防止するための手続きです。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。また、検認をしたこと自体で、遺言書の効力が確定されるとか、検認をしなかったので、遺言書が無効になるというものでもありません。


2.検認手続が必要となる遺言書は?

 自筆証書遺言と秘密証書遺言が検認手続きの対象となります。ただし、法務局における遺言書保管制度を利用して作成された自筆証書遺言書については、偽造・変造の恐れがないため、検認手続は不要とされています。


3.検認手続の内容と事後処理

@申立権者は、遺言書の保管者かこれを発見した相続人とされ、保管者は相続人である必要はありません。

A管轄は、相続開始地を管轄する家庭裁判所となります(通常は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります)。

B検認の期日は、申立人及び相続人に通知され、遺言書らしいものの存在を知らせた上で、その状況を直接見る機会が与えられます。機会を与えれば足り、検認期日に全員が出席する必要はありません。

C当日は、遺言書及び遺言書が入っていた封筒等の状況が確認され、裁判所書記官により調書が作成されます。

D検認を終えた遺言書は、検認済証明書が付され一体化され、提出者に返還されます。これらは、遺言書に基づき不動産の所有権移転登記をする際に、または金融機関で預貯金の引出し手続きをする際などに必要となります。



家庭裁判所における検認手続


                                 このページの先頭へ


家庭裁判所の検認手続。自筆証書遺言必要。封印。検認済証明書。






相続放棄手続


1.相続放棄とは?

 相続人は、自己のために相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述することにより、全面的に遺産の承継を拒否する制度です。相続放棄をすると、はじめから相続人とならなかったことになります(民法939条)。共同相続人が複数いる場合でも、各相続人は単独で相続放棄の手続きをすることができます。

 相続に関する法律相談にお越しになられるかたの中に、相続が開始して数年が経過しているにもかかわらず、「兄と姉は相続放棄をしており、家は私が引き継ぎます」という趣旨のお話をされますが、これは遺産分割協議(民法906条)の結果のことであり、正確な意味での「相続放棄」とは異なります。このケースですと、お兄様、お姉さまは、相続人であり、協議の結果、プラス財産である家について、それぞれの相続分をゼロにした、ということになります。

 

2.数次相続・代襲相続が生じた場合の相続放棄は?


@数次相続が生じた場合、直近の相続は承認しつつ、その前の相続を放棄することは、被相続人が異なるので、可能とされています。一方、その逆の場合には、相続放棄をするまでもなく、そもそも相続を受けることができなくなるので、不可能とされています。

A代襲相続の場合、個別の相続の問題となるので、かつて被代襲者について相続を承認、放棄したかにかかわらず、代襲相続を放棄又は承認することが可能です。


3.相続放棄の方式は?

@申立権者は、必要書類を添えて、相続開始地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄の申述をします。
通常は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

A窓口へ行けない時は、郵送でも手続きが可能です。

B被相続人と申述人との関係により、添付書類がことなります。
申述人が第一順位者である配偶者・子供の場合、申述人の戸籍謄本、被相続人の住民票除票、被相続人の死亡事項記載の戸籍謄本が必要となります。
第二順位者の直系尊属、第三順位者の兄弟姉妹の場合、これらに追加して、被相続人と申述人との関係をつなげるための戸籍・除籍謄本等すべてが必要書類となります。

C提出した戸籍謄本、除籍謄本等については、後日不動産の相続登記や預貯金の引出し手続きで必要となる場合、コピーを提出することにより、原本の返却を受けることが可能です。


4.相続放棄の効果は?

 
初めから相続人とならなかったことになります(民法939条)。相続開始のときに遡ってその効力が生じます。従って、プラス財産だけでなく、マイナス財産である債務に関しても一切相続により承継する必要がありません。

 3ヶ月の熟慮期間中に、相続財産の全部又は一部を処分することにより、単純承認(民法921条)をしたものと見なされる場合には、もはや相続放棄の手続きをとることはできません。

 家庭裁判所に対する申述は、法律上は意思表示の方式として定められたものであり、申述の受理は、その意思表示を受領したということの公証行為にすぎません。よって、後日訴訟等によりその効力を争うことは可能となります。



                                 このページの先頭へ

相続放棄の手続き。家庭裁判所にて3ヶ月以内に行う必要あり。パンフレット。






法定相続人の順位・範囲・代襲相続


1.法定相続人の順位は?

@第一順位の相続人は、子となります(民法887条)。

→孫以下の直系卑属は、子を代襲してのみ相続権を有します。
→子が数人いる場合は、同順位で相続し、男女の別、養子、嫡出・非嫡出の別は問いません。

A第二順位の相続人は、直系尊属となります(同889条)。

→父母や祖父母が直系尊属にあたり、親等の近い者が優先します。
 従って、より近い親等の直系尊属が一人でもいれば、それより遠い親等の者は相続人とはなれません。
→実親・養親の区別はなく、親等の同じ直径存続が数人いる場合は、共同相続人となります。
→祖父母の孫に対する相続は、本来の相続であり、代襲相続ではありません。

ex.父方の祖父母と母方の祖母の3人が相続人であるケースでは、3人は子を代襲して相続するのではなく、本来の相続となるため、その法定相続分は、各3分の1となります。

B第三順位の相続人は、兄弟姉妹となります(同889条)

→兄弟姉妹が数人あるときは、すべて同順位で相続する。    

C配偶者は常に相続人となります(同890条)。

→上記@ABの血族相続人がいるときは、それらの者と共同相続することになります。
→法律上の配偶者である必要があり、内縁の配偶者には相続権はありません。
→配偶者には、代襲相続権が認められていませんので、再婚した妻の連れ子は、自分の母を代襲することはできません。



2.法定相続人の相続分は?

@第一順位の子と配偶者が相続人となる場合

→子1/2、配偶者1/2の均等となります。(同900条)
→平成25年9月4日最高裁違憲判決により、嫡出でない子と嫡出子がある場合の、嫡出でない子の相続分を、嫡出子の2分の1としていた規定は、削除されました。

A第二順位の直系尊属と配偶者が相続人となる場合

→直系尊属1/3、配偶者2/3となります。

B第三順位の兄弟姉妹と配偶者が相続人となる場合

→兄弟姉妹1/4、配偶者3/4となります。
→父母の一方のみを同じくする半血の兄弟姉妹は、父母の双方を同じくする全血の兄弟姉妹の相続分の1/2とされます。
前記の「嫡出子・嫡出でない子」の規定の異なり、全血兄弟姉妹、半血兄弟姉妹の場合には、相続分格差が設けられています(同900条4号)


3.代襲相続とは?

 
被相続人の死亡以前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡し、または廃除され、あるいは欠格事由に該当するために相続権を失った場合に、その者の直系卑属がその者に代わって、その者が受けるはずであった相続分を相続することを言います(民法887条)

→ただし、兄弟姉妹の場合には、代襲者はその者の子一代に限られますので、注意が必要です。
→直系尊属及び配偶者には代襲相続は認められません。
 子が被相続人、祖父母が相続人となる場合の祖父母の相続権は、本位相続であって、子の親を代襲した訳ではありません。
→「相続放棄」は、代襲原因とは認められません。
 従って、相続放棄者の直系卑属は代襲相続人とはなりません。

 

                                 このページの先頭へ



法定相続人の順位・範囲。配偶者、兄弟姉妹。代襲相続の解説図。






配偶者居住権


1.配偶者居住権とは?

 
配偶者が、相続開始時に居住していた被相続人の所有建物について、終身または一定期間、配偶者にその使用・収益を認めることを内容とする権利です(民法1028条)。
 配偶者には、居住建物の使用・収益権のみが認められ、あえて処分権限のない権利を創設することにより、遺産分割の際に配偶者が居住建物の所有権を相続する場合よりも、低い価額で居住権を確保できるようにするため制度設計がなされました。(令和2年4月1日施行) 


2.配偶者居住権の成立要件は?

「配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に居住していたこと」
「その建物について、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割協議、遺贈、又は死因贈与契約がされたこと」

@配偶者の年齢や、婚姻期間用件は定められていません。
 配偶者には、内縁の配偶者は含まれません。

A建物には、被相続人が賃借していた建物はふくまれません。

B被相続人が、建物の共有持分を有していた場合、他の共有者が被相続人の配偶者である場合には 配偶者居住権は成立しますが、第三者と共有していた場合には、成立しません。

C必ずしも配偶者の住民票が建物所在地にある必要はありませんが、実際に生活の本拠として居住 していたことが必要です。

D建物が「店舗兼居宅」のように専用住宅でない場合でも要件を満たせば、配偶者居住権が成立し ます。また、効力は建物全体に及ぶこととなります。

E建物の一部を、第三者に賃貸していた場合にも、配偶者居住権が成立します。



3.配偶者居住権の成立後の効果は?

@成立した配偶者居住権は、一身専属権であるため、第三者に譲渡することはできません(同1032条)。また、建物所有者に買取りを請求することもできません。

A配偶者が死亡した場合には、当然に権利は消滅し、相続の対象とはなりません(同1036条)

B配偶者居住権設定の登記をすることにより、民法上の対抗要件を取得することが可能です。

C建物を第三者に賃貸するには、建物所有者の承諾を得る必要があります(同1032条)



4.配偶者居住権が消滅する場合は?


@配偶者の死亡
A存続期間の満了
B建物の滅失
C居住建物の所有者による消滅請求
D配偶者居住権に優先する抵当権の実行



5.配偶者短期居住権との違いは?

 
前記の配偶者居住権(長期)の創設とともに、配偶者短期居住権の制度も同時に創設されました(同1037条)。これは、被相続人死亡後、一定期間配偶者に従前の住居での生活を保障しようとするものです。

 「配偶者が、被相続人の建物に、相続開始時に無償で居住していること」が成立要件となります。

→被相続人の意思表示等はとくに必要とされません。

→配偶者が有償で建物を使用している場合には、既に使用権原を有しているため成立しません。

→前記の「配偶者居住権(長期)」が成立する場合も、配偶者短期居住権は成立しません。

→被相続人は、相続開始時に配偶者と同居している必要はありません。

→配偶者が、相続人の欠格事由に該当した場合や、廃除により相続権を失った場合にはが、成立し ません。

→存続期間については、次とおりとなります。
@居住建物について、配偶者を含む相続人間で遺産分割をすべき場合(配偶者が居住建物について 遺産共有持分を有している場合)には、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、又は相続 開始の時から6ヶ月を経過するいずれか遅い日まで存続する(同1037条)

A@以外の場合(配偶者が居住建物について遺産共有持分を有しない場合)には、居住建物所有者 による配偶者短期居住権の消滅の申入れの日から6ヶ月を経過する日まで存続する(同1037 条)


                                 このページの先頭へ

配偶者居住権に関する解説。相続登記に伴う配偶者居住権の表。






相続預貯金の払戻し制度


1.制度にいたる背景

 
平成28年最高裁判決により、相続の際に預貯金債権が遺産分割の対象に含まれるとの判断が示されました。これにより、各共同相続人は、遺産分割前には全員の同意がなければ、預貯金債権に対して権利行使ができなくなりました。

 この判決を受けて、「遺産分割前の預貯金債権の仮分割の仮処分」という対策法が設けられましたが、@遺産分割前の審判又は調停が係属していること、A急迫の危険を防止する必要があること、B仮払いの必要があると裁判所が判断したこと(旧家事事件手続法200条2項)など非常に厳格な要件が設けられていました(本改正に併せて要件が緩和されています)。

 これらの不都合を解決すべく、令和1年7月1日より、新たに民法909条の2に「遺産分割のにおける預貯金債権の行使」に関する条文が設けられるにいたりました。



2.必要とされる要件は?


 
各共同相続人は、「相続開始時の預貯金債権の債権額の3分の1に、払戻を求める当該相続人の法定相続分を乗じた額」については、単独で権利行使をすることができるとされました(民法909条2項)。

 ただし、一つの金融機関(同一の金融機関に複数の口座がある場合も含む)に対して払戻しを請求できる金額の上限は、政令により150万円と定めらていますので、いずれか低い金額を上限とすることとなります。

 【計算式】 
 (相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×払戻しを求める相続人の法定相続分

→権利行使をする相続人が、使途などを明らかにする必要はありません。



3.その効果は?


 
この規定に基づき、権利行使された預貯金債権については、その共同相続人が遺産の一部分割によりこれを取得したものとみなされます(同909条2項後段)。
 したがって、払戻し請求をした預貯金債権の額がその者の具体的相続分を超える場合でも、当該共同相続人は、その超えた部分を清算する義務を負うことになります。



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相続預貯金の払戻し制度の詳細。相談。相続人の権利拡大。共同相続人。



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